中国の古典詩は、季節をどのように詠っているか。詩に詠われた真の季節を探り、制作年代をも明らかにする。
二十四節気は、簡単に言うと、一年間の太陽の動き、すなわち季節の推移を二十四等分した枠組みである。旧暦すなわち太陰太陽暦にとって、不可欠の要素として、二千年以上の長きにわたって、農業や暮らしの文化に深く関与してきた。
本書はその枠組みから、その詩がその節気である根拠をいちいち検討し、作者が何歳のとき、どこで作ったかを、可能なかぎり明らかにする。
序編として、中国で二十四節気という発想が、どのように生じ発展していったかを、概論的にまとめた「二十四節気概説」を付す。
この序論を読めば、年代特定については、中国の古典詩以外の分野でも用いることができるし、中国以外でも二十四節気の日付を残す文献がある国では、活用の参考になる。
【わたしはもともと中国の古典詩が、季節をどのように詠っているかを知りたかった。ただ、旧暦の日付で見ていては、今述べたように、詩に詠われた真の季節はわからない。そのとき、旧暦の中に二十四節気という太陽暦が組み込んであること、そして二十四節気を基準に見れば、その詩が詠う季節がどの時期にあるのか、客観的にわかることに気づいた。季節の推移は、太陽の黄道上での(つまり地球の公転軌道上での)動き、位置によって決まり、一年を二十四等分する二十四節気が、季節の推移を客観的に知ることに、きわめて便利であることに気づいたのである。】…「序」より
レビュー(1件)
目から鱗に、エンタメ性も
二十四節気といえば,近代以前と言う認識がつきまといますよね。 だから太陰暦と関係あるとばかり思っていました。 でもこの本を読めば、純粋な太陽暦であるということがよくわかります。 しかも漢詩を24節気で読みとくとはどういうこと?と,全くの初心者の立場,途中での挫折を覚悟して読み進めてきましたが,思いの外スルスルと読めました。 私は夏に生まれているので立夏、芒種、夏至のころの記述は興味深く読みました。 特に立夏の候の陸游の詩の解説は,ヨーロッパの古代ケルトからキリスト教への流れ,そして星座の話まで,漢詩の専門書の枠をこえて,読み応えがありました。 専門書という堅苦しい感じではなく,知識を豊かにしてくれる啓蒙書と言う感じです。 作詩者のだいたいの生年月日から,この詩が書かれた日時を,二十四節気を利用しながら決めていくところなどは,推理小説を読むようなエンタメ性もありましたね。