彗星のように登場した「軽度発達障害」という言葉は、これまで見過ごされてきた子どもたちの「生きづらさ」を浮かび上がらせ、そして今はもう使われなくなった。本書は、そのあいまいで気づかれにくく、しかしだからこそ深刻な「生きづらさ」が表面化した時代に、一人ひとりの子どもたちの内面ににじり寄る想像力と、障害の可能な限りの実証的解明を礎としながらも、視野を広げ、安易な医療化と対処法による割り切りへの反省を携えながら実践を積み重ねてきた児童精神科医の中間報告である。発達障害を持つ子どもたちと養育者が紡ぐさまざまな物語を読み解きながら、冷静な診断を目指す知と、生活の場で連携し全人的に繋がりあって生きる社会への情熱を重ね合わせ、子どもたちの希望を支える。教育・福祉と児童精神医学の一つの挑戦。
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