人類がもつ文化に焦点をあてながら、文化人類学の基本的知識を解説する。社会に閉塞感や生きづらさが漂う今日の世界は様々な限界に直面しており、様々な領域で根源的な転換の構想が求められている。グローバル化とともに人類と地球をはじめとする様々な二元論が地球規模で揺らぎつつある時代を「人新世」時代として捉え、自然と文化、自文化と他文化、心と身体、真実と虚構等様々な二元論が融解しつつある現状に応じたトピックを取り上げる。
1.「人新世」時代における文化人類学の挑戦 2.人新世とグローバリゼーション 3.文化相対主義の悲哀:近代人類学の「文化」の陥穽 4.創造的対話への扉:フィールドワークの現実への回帰 5.人新生時代のSDGs と貧困の文化 6.人新世時代のものと人間の存在論 7.エイジングの人類学 8.医療とケアの民族誌 9.世俗と宗教 10.現実と虚構のはざまのメディア/知識 11.世界生成の機械としての文化 12.自然と身体の人類学 13.イメージと創造性の人類学 14.協働実践としての人新世時代のエスノグラフィー 15.地球と人類の未来
レビュー(2件)
現代の問題意識にも応える本
文化人類学に属する本は数多いが、新型コロナの影響下、レジリエンスや環境と経済成長、文化の維持、世代を超えた生活の継承など、今日的な問題意識にも応える切り口が提示されていると感じました。放送大学の番組である、『 人新世時代の人類学』を見て興味を持ち、テキストを購入したものですが、期待に違わず良い本だと思います。記述も概念とファールドワークからの事例がわかりやすくが書かれていて、考えるヒントになると思います。なお…細かく読むと『 人新世時代の文化人類学』という言い方は読んでみて引っ掛かりがあったが『 人新世 云々』の用語は、ひとつのアイキャッチな看板・お化粧と読めば、あまり大きな不満はないし、正直、腹もたたなかった。もうひとつは、自然/人間の二元論の打破のところは、もともと理由があって細分化してしまった現代のアカデミアの問題があるが、文化人類学だけの方法論問題ではないとは感じましたので、個人的には大賛成とは思いませんが、面白いという点は評価をして良いテキストだと個人的に思いました。