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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日本の教育の実態を俯瞰的に捉え直した数少ない正攻法の力作である。読後感は重いが説得力は半端ではない。教育に興味のある人にぜひとも一読してもらいたい一冊だ。--出口治明さん (立命館アジア太平洋大学(APU)学長)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・就学前、小学校、中学校、高校、国際比較…データで「緩やかな身分社会・日本」の実態を克明に描き出す!◆小学校入学時にすでに学力格差が存在!◆公立の中学校同士でも大きな「環境」格差がある!?◆親が大卒/非大卒で、就学前~高校まで格差が存在。出身家庭と地域という本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異なり、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となる。つまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。本書は、戦後から現在までの動向、就学前~高校までの各教育段階、国際比較と、教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証。その上で、すべての人が自分の可能性を活かせる社会をつくるために、採るべき現実的な対策を提案する。朝日新聞:出口治明さん評 (2019.9.7)日経新聞:小塩隆士さん評 (2019.9.14)毎日新聞:大竹文雄さん評(2019.12.8「2019年この3冊」)で大絶賛!!ほか、『週刊東洋経済』2019年11月16日号、『文學界』2019年1月号、『サイゾー』2020年1月号『都市問題』2019年12月号、『内外教育』2019年11月15日合併号、『週刊教育資料』1546号などで紹介! 第1章 終わらない教育格差第2章 幼児教育ーー目に見えにくい格差のはじまり第3章 小学校ーー不十分な格差縮小機能第4章 中学校ーー「選抜」前夜の教育格差第5章 高校ーー間接的に「生まれ」で選別する制度第6章 凡庸な教育格差社会ーー国際比較で浮かび上がる日本の特徴第7章 わたしたちはどのような社会を生きたいのか
レビュー(67件)
教育社会学と言えばこの本から
身につまされるが真実が、データを元に書かれています。教育社会学における格差問題に火をつけた、端緒となる本です。出典が信頼できるので、教育学、社会学専攻の大学院生もこの程度を基準に博士学位論文は書いてもらえるとよい、という目安としています。最近出た『経験格差』もこの延長として考えています。
教育格差の実態がわかる
教育に携わる人に読んで欲しいです。データの量が多く、読んでいて非常に多くのことを学べます。
期待通り
かなり衝撃的な内容であるとともに、自分の考えの裏付けにもなりました。
単純ではない日本の教育環境
公立の中学校であっても、学力の地域間格差が大きく、教育内容が異なってしまうようです。 当然ですが、平均以上の生徒が多い学校で平均的な内容の授業をすれば、簡単すぎてつまらない生徒が多くなってしまいます。 逆に、学力が平均を大きく下回るような学校で、平均的な内容の授業をすれば、わからない子が続出して学校が荒れてしまいます。 親の文化資産や経済状況、さらには、地域的な要因で大きく教育環境が異なります。 この現在の日本の実態に興味のある方は、是非ご一読ください。
「教育」に関わる全ての人に
この本は新書という(多少専門的で読みにくい部分もあるものの)多くの読者が読みやすい体裁を取りながら、徹底的にデータに基づき、丁寧な議論を進めているという点で他の新書・専門書とは一線を画する。また、プロローグやエピローグにはクールな分析の裏にある著者のパッションも感じられ、「自分も一緒にこの問題を考え、行動していきたい」と感じさせる。本書の内容は、教育格差はもちろん教育全般に関する言説や議論にも応用できる可能性を秘めている。「教育」に関わる全ての人にお勧めしたい一冊である。