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”この町には耳をふさぎたくなるほどの静けさがある”謎多き一編の「詩」に導かれた、新たな軍艦島の光景とは ──「クレイジージャーニー」『奇界遺産』『世界の廃墟』佐藤健寿が廃墟の王、軍艦島へ。・・・古くはローマの遺跡群から今日の東日本大震災の跡地まで、あらゆる文明=社会はいつか荒廃して自然に帰すことを、実は私たちは、経験的に、あるいは歴史的に、よく知っている。ところが私たちは永続的な進歩という共同幻想を維持することで、この社会をどうにか成立させなければならない。それは文明が本質的に抱えるパラドックスである。だからこの欺瞞からすでに解放された軍艦島に立つとき、むしろ私たちが矛盾だらけの存在であることに気付かされる。そして社会を成立させる幻想と無常の現実との境界に浮かぶ島で、語るべき言葉を失うのだ。(あとがき「幻想と現実の境界に浮かぶ島」より)。
レビュー(8件)
写真が綺麗でお洒落で、昔の沢山の人が居た景色に想いを馳せれて切なくなる。そんな1冊です。今この景色もいつかはこうなると思うと切ないです。
旅行前に
こんど軍艦島に行くので買いました 佐藤健寿さんの独特のまなざしが感じられます 印刷はそこまで美麗ではないですが、その分お求めやすいかと思うので納得です。
いい写真集だと思います
表紙の建物は7階あるので端島小中学校だと思われます。 この本に載っている写真が撮影されたのは世界遺産登録される前のようです。 今の軍艦島は刊行時より崩壊が進んでいるんだろうなと思うと一抹の寂しさを感じます。 全てのページではないですが、見開きの片側ページが写真、反対側に詩というスタイルで詩がノイズのように感じていました。 ですが、後書き部分にあの詩は軍艦島の65号棟最上階の幼稚園に書かれていた落書きだが今はないもので、この詩が写されていた写真をたまたま見た事がきっかけで著者の佐藤さんがこの本を作る事につながったそうです。 その事を反映して見ると、言語化しづらいが何故か納得してしまう今は存在しない詩と、佐藤さんが長崎市役所観光推進課と世界遺産推進課の協力を得て撮影された数々の写真を併載する必要があったんだなと思いました。
すばやく対応していただきまして、ありがとうございます。