前著である『地質工学 -ジオドクターの処方箋ー』を2019年2月に上梓してから約5年が経過しました。その間、地質コンサルタント、ゼネコン、各研究機関、大学等の産官学における地質技術者、土木技術者、研究者の方々に前著を利用いただき、ご好評をいただきました。前著は、早稲田大学教育・総合科学学術院地球科学教室において1999年から筆者がおこなってきた専門選択科目「応用地質学」、「地質工学」の講義に基づいた地質工学に関する基礎的内容と、筆者の業務経験に基づいた地質工学の応用的内容とで構成されていました。筆者は建設業界に40年以上、身を置いてきましたが、各々の地質技術者の地山解釈の違いや、地質調査結果と実際の施工段階における地山状況との乖離に悩まされてきました。このような経緯から、今回、新たに実務者向けに岩石・岩盤の見方やその基礎知識、岩石・岩盤の工学的な考え方、また認識の不確実性(ヒューマンエラーや認知バイアス等)からくる地質リスクについて、より丁寧に解説した本を書いておかなくてはとの思いが強くなり、続編である本書の執筆に至りました。続編となる本著では、「岩石・岩盤の見方・考え方」から始まり、「地質体の分布と地質工学的課題」、「岩石・岩盤の物性値(力学的特性、透水性など)」、ならびに「地質リスクと不確実性(特に、ヒューマンエラーや認知バイアス等による認識の不確実性)」に関する地質工学のより実践的な内容となっています。本著の『地質工学2 -ジオドクターの知恵袋ー』の副題は、地盤・岩盤の課題を解決するための地質技術者(ジオドクター)の実践が、先達たちの英知の結集(知恵袋)にもとづいているとの想いから付けられています。読者対象としては、建設事業に係わる中堅から熟練の地質技術者ならびに土木技術者を想定しています。本著がより多くの地質技術者、土木技術者に利用され、後進の育成や将来の良質な社会資本整備に役立てられれば幸甚です。
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