父の青年の頃を描いた私小説『夢の花〜1947初夏』〜日系二世の進駐軍通訳兵との束の間の交歓。梅雨明けの道を35マイルで疾駆するジープから一瞬、二世の網膜に焼き付いたのは一輪の白い花。思い出深い冬のカメリアのイメージに夢かと訝う二世の視線を追った青年は、それがナツツバキであり君の眼は確かだったと知らせる。月日は流れ、老人となった青年はかつての二世の姿を空の彼方に追う。しかし、今や自分の心を開いてくれた一期一会の友の消息を知る術はない。かつての青年は空の彼方の友に向かって一つの約束をする。23回忌を迎える亡父の霊に捧げる。キャンプを愉しむ子供たちの傍ら、とりとめのない大人の心象風景を描いた『魔法の森〜1999夏(後編)』しかしながらキャンプは小さな子供たちと一緒だったからこそ詩情豊かな思い出として今も鮮明なのだ。童話化に苦心中の前編に先立って作品化。キャンプものをもう一つ。大宇宙のなかの点としての自分、そして誰もがそうであることの無言の連帯感を描いた『ひとときの点在〜1998晩秋』〜晩秋11月のキャンプの愉しみと細やかな啓示。以上、三部作。
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