四季の扉の向こうに広がる、伊勢物語の新たな相貌。平安時代、竹取物語から源氏物語・狭衣物語へと続く物語史において、四季は飛躍的に重要性を増していった。その中間部の伊勢物語では、四季はどのような意義を発揮しているのか。伊勢物語は、古今集に代表される四季観を踏まえつつも、それを特有な形で継承することによって、四季の物語を成り立たせている。和歌集・漢詩文集などの四季観を要所に導入して個々の四季物語が実現し、そしてそれをテコとして伊勢物語の世界全体が、かけがえなく支えられていく。本書ではその様相が、春夏秋冬の各領域において明確に提示されている。
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