20世紀前半に中国で活躍した画家、豊子凱(ほう・しがい)が、大正期の日本で交わされた東西の芸術比較論を介して、カンディンスキーの抽象芸術論を受容し、それを中国画論と融合させて「気韻生動」という中国古来の重要概念を解釈したことを明らかにする。
序論
豊子凱について
研究背景
本書の構成
第一章 「自然美」から「感興」への転向
第一節 「普通の芸術」と「専門の芸術」
第二節 「自然美」による「生動」
第三節 「自然に対する感情」としての「感興〔遺貌取神〕」
第二章 「感覚美」によって喚起される「高遠な思想感情」
第一節 「感覚美」によって喚起される「高遠な思想感情」
第二節 カンディンスキーの「震動(Vibration)」
第三章 「精神的なもの」と「気韻生動」との共鳴
第一節 エディによるアメリカ側のカンディンスキー受容
第一項 ブイによる「気韻」と「生動(living movement)」
第二項 カンディンスキーの純粋芸術と「東洋の抽象芸術」
第二節 園頼三による日本側のカンディンスキー受容
第一項 ショーペンハウアーの「崇高」と「生動」
第二項 リップスの「感情移入」と「気韻生動」
第三項 カンディンスキーの「純粋精神」と「気韻生動」
第三節 豊子凱による中国側のカンディンスキー受容
第一項 「同情」と「生動」
第二項 書道における「純粋な形状」によって示される「神気」
第四章 文人画と純粋絵画との両立
第一節 「文学的絵画」と「純粋的絵画」
第二節 「画中有詩」における「詩趣」
第五章 「写生」と「写意」との融合
結論
註
あとがき
参考文献
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