古代より連綿と続く演劇は、われわれを特別なーー祝祭的な、と言った方がいいだろうかーー空間に誘い続けているし、これからも誘い続けるであろう。演劇というジャンルを繙くことは、われわれ自身を繙くことになるだろう。われわれが舞台の上に見るのは、われわれ自身であるのかもしれない。舞台の上で演じているのは、われわれ自身であるのかもしれない。演劇を愛好するものであろうとなかろうと、われわれは演劇から目を背けることはできない。
本書は、イギリス17世紀の多彩な女性作家であるアフラ・ベーンの劇作家としての側面を解明すべく、彼女の代表的な作品11篇について論じながら、併せて、演劇というジャンルそのものへと考察を広げたものである。演劇論の文学史的俯瞰によってアフラ・ベーンの演劇を照射することが可能になり、また、彼女の戯曲と彼女の演劇への貢献を理解することによって、演劇の受容の新たな地平が開かれることを期待している。
はじめに(プロローグ)
第 1 章 『若き王』についてーー愛の神と戦いの神ーー
第 2 章 『強いられた結婚、あるいは嫉妬深い花婿』について
第 3 章 『流浪の男』に見る喜劇の空間について
第 4 章 現実と虚構と --『サー・ペイシャント・ファンシー』について
第 5 章 誠実に騙すことーー『偽りの娼婦たち』について
第 6 章 喜劇から離れてーー『にせ伯爵』について
第 7 章 政治劇に隠されたフェミニズム --『シティの相続人』について
第 8 章 『ラッキー・チャンス』における喜劇性について
第 9 章 『月の皇帝』論ーーファースの構造についてーー
第10章 『未亡人ランター』--悲喜劇の構造についてーー
第11章 『次兄』における非演劇的構成について
おわりに(エピローグ)
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