【輸入盤】『すべての人々は姉妹になる』 アヌーシュカ・ハック、カタリーナ・ハック
チェロとピアノで表現する人の絆
「すべての人々は姉妹になる」
アヌーシュカ&カタリーナ・ハック
シラーとベートーヴェンへのオマージュ
アルバム・タイトルの「すべての人々は姉妹になる(Alle Menschen werden Schwestern)」は、シラーとベートーヴェンにあやかったもので、兄弟が姉妹に変更され、ベートーヴェンの旋律も引用変形されています。シラー自身、最初は「乞食が王子の兄弟になる(Bettler werden Fürstenbrüder)」としていた部分なので、「すべての人々は兄弟になる(Alle Menschen werden Brüder)」が、姉妹や姉弟、兄妹に置き換えられても良さそうです。作曲のバラノヴァは、クライネフ門下のピアニストとしてのキャリアと並行し、クロスオーヴァーでの活動もおこなっている幅広い芸風の持ち主。
兄弟姉妹
人々の結びつきといっても、ここで表現されているのは全体主義的なものではありません。重要なのは個と個の繋がりで、たとえば人生の長い時間を共有した兄弟姉妹の結びつきには特別なものとなる場合もあり、ここでは作曲家ナディアとリリのブーランジェ姉妹、作曲家ファニーとフェリクスのメンデルスゾーン姉弟の作品が紹介されています。
恋愛や喪失感も
また、人の結びつきの対象は、恋愛や信仰も含まれるので、ここでは有名なポピュラー・ソングやR.シュトラウスの歌曲の編曲も収録。また、結びつきが喪失すると、場合によってはとんでもなく嘆くことになるとして選ばれたのか、ジョヴァンニ・ソッリマの無伴奏チェロによる「嘆き」の過激さには驚かされます。
希望
ベートーヴェンが2度書いた歌曲「希望に寄せて」は、若い頃は恋愛の思い出に希望を寄せた歌でしたが、ここに収められた2度目の作曲では大きくさまがわりし、何があっても諦めない本来の希望としての強さが示されています。その内容は、ドイツの哲学者で音楽ネタが多いことでも知られるエルンスト・ブロッホ(クレンペラーの生涯の友)の語るベートーヴェンのユートピア志向的な性格とも一致します。
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演奏者情報◆ アヌーシュカ・ハック(チェロ)
1996年生まれ。2024年7月にクロンベルク音楽アカデミーを修了し、ソリストのディプロマを取得。ラーセン弦楽団のアーティストであり、ドイツ音楽生活財団から貸与されたバルトロメオ・タッシーニのチェロ、ヴェネツィア1769を演奏しています。
2021年ヴェルビエ音楽祭で最優秀若手チェロ奏者に贈られるフィルメニッヒ賞、2022年レイダ・ウンゲラー音楽賞、2023年ドイツ音楽コンクールでドイツ音楽生活財団特別賞を受賞。多彩な音と強い自己表現でステージに活気を与える彼女のコンサートは、コンサートホールを出会いの場と捉えた独創的なプログラムが特徴で、標準的なレパートリーに加えて、しばしば観客の衝動に触発されたフリー・インプロヴィゼーションや、女性作曲家の作品の発掘と演奏も含まれています。
アヌーシュカ・ハックは現在、タベア・ツィンマーマン、ヴィヴィアン・ハーグナーとダニエル・ミュラー=ショット、アントワーヌ・タメスティ、ゴーティエ・カプソンなどと室内楽を演奏。
CDは、Berlin Classics、Genuinなどから発売。
◆ カタリーナ・ハック(ピアノ)
1994年にケルンの音楽家一家に誕生。イリヤ・シェップス、コンスタンツェ・アイクホルストに師事し、ヴュルツブルク音楽大学大学院でベルント・グレムサーに師事。2023年には、ガブリエラ・モ
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