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【第45回すばる文学賞受賞作】 選考委員絶賛! 小説の魅力は「かたり」にあると、あらためて感得させられる傑作だ。--奥泉光氏 この物語が世に出る瞬間に立ち会えたことに、心から感謝している。--金原ひとみ氏 ただ素晴らしいものを読ませてもらったとだけ言いたい傑作である。--川上未映子氏 (選評より) 認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。 父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。 そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのにーー。 暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。 【著者略歴】 永井みみ ながい・みみ 1965年神奈川生まれ。ケアマネージャーとして働きながら執筆した本作で第45回すばる文学賞を受賞。
レビュー(233件)
初め、理解できなかったけど、読み進めるつれて、わかってきた。本の帯では、絶賛されていたけども…読者の感性なのかな?
早めのご対応・・・
新聞に紹介されていたこちらの本の内容を見て 試しに購入してみましたが、ご対応も早く直ぐに 届いたのにはびっくりでした。 これから読むのが楽しみです。
文字数が少なく1日で読み切れるボリュームです。 しかしながら読後の心にズシっとくるもののボリュームは、この本独特の重厚感があります。『悲しい・泣ける』の類とはまた別の。 実際、認知症高齢者の考えている事って誰も知れない事なのだけど、「認知症高齢者ってこう感じているんだ」と、ひとつひとつに信憑性があるのは、作者がケアマネジャーとして日々認知症高齢者と向き合っているからこそ知る実態なのでしょう。とてもリアル。 カケイばあさん、広瀬のばあさんの壮絶な過去も十分に重たいものがあったけど、 私に重たく響いたのは、高齢者になってからの随所に感じられる描写のリアルさです。すえた臭いさえ感じられます。 「花はきれいで、今日は死ぬ日だ」 私も人生最後の日は、こう思えていたらいいな。
何人か親族を見送ったので カケイさんの語り口や願い、悲しみ、心の動きが心に沁みました。 やさしいみっちゃんたちとつらい人生。 でもわずかな時間存在した愛がずっと光を灯すんだなと思いました。 守ってくれていた人たちのことを最後にカケイさんが知って良かった。 しみじみとした読後感。もう一回読みます。
読んでいて色々人の人生や守りたい者を考える様な小説です。 不器用だけど心のしこりを持ちながら一生懸命生きていた。 心に残る小説です。