革命の父レーニンの後に現われ、人々が「全民族の父」とみなし、神とあがめたスターリン。だが、その正体は自由な芸術を検閲によって弾圧し、政敵を次々と粛清する、さながら中世の異端審問官のような独裁者であった……。同時代人の証言もまじえ、スターリン支配下に現出した恐るべき大粛清の実態を暴き、独裁者の内面に文学的想像力で迫る。『磔のロシア』と同時代の事象を、スターリン権力の側から一点透視法的に描き出す。文庫版には、主な登場人物の紹介付き索引を付した。
プロローグ
第1章 奇跡 大審問官の誕生 -- 一九二四ー一九二九
事件ファイル1 レーニン死す
事件ファイル2 フルンゼ「謀殺」
「栄光」の予感
巨大検閲機関の誕生 -- 前史1
赤色テロル -- 前史2
初仕事
「無人島」より
秘密のファイル
包囲された詩人
「大いなる転換の年」
第2章 暗雲 二発の銃声 -- 一九二九ー一九三四
事件ファイル3 マヤコフスキー自殺
事件ファイル4 キーロフ暗殺
集団化の悲惨
進化する検閲
独裁者からの電話
映画界の「寵児」
寸鉄詩と頌詩
ソ連作家同盟の成立
キーロフ事件1 予感
キーロフ事件2 処理
第3章 神秘 大テロルの時代 -- 一九三五ー一九四〇
事件ファイル5 ゴーリキー毒殺
事件ファイル6 ブハーリン銃殺
鎮魂歌とユーフォリア
幻のフィルム『ベージン草原』
交錯する思惑 -- パリ・モスクワ
「音楽ならざる荒唐無稽」
大文豪ゴーリキーの死
秘密ファイルと公開裁判
ウロボロス
危険なディテール
第4章 聖戦 ナチス・ドイツとの闘い -- 一九三九ー一九四五
事件ファイル7 トロツキー暗殺
事件ファイル8 「カティンの森」虐殺
大戦前夜の悲劇
レニングラード交響曲
ソビエト国歌コンクール
前線と後衛にて
『黒書』と綱渡り芸人
沸騰するナショナリズム
ファシズム批判と二枚舌
迷える独裁者 -- 『イワン雷帝』
第5章 権威 「われは国家なり」 -- 一九四六ー一九五三
事件ファイル9 ソロモン・ミホエルス暗殺
事件ファイル10 スターリン死す
ジダーノフ批判 -- 歴史的な決定
映画,演劇,音楽への批判の波及 321批判される二大作曲家 -- プロコフィエフ, ショスタコーヴィチ
ミホエルス暗殺事件
一万五千個の贈り物 -- 七十歳の誕生日
黙示録再び -- 医師団事件
最悪のフィナーレ
弔鐘 -- 最後の闘い
エピローグ
岩波現代文庫版あとがき
資料
スターリン時代の政治組織
秘密警察の変遷
ソ連年表
主要参照文献一覧
人物紹介+人名索引
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