周縁に追いやられた思想を「再訪」する
西洋の学知が到来した19世紀以降に新たに中国の思想文化が構築されていく過程において周縁に追いやられ、「低音」化した保守思想に「説を立てた古人と同一の境地に自分を置く」という形で分け入り、考察していく。復旦大学文史研究院での4回にわたる講演を基に、「附論」2篇を追加収録。中国・西洋・日本の、古代から現代に至る膨大な学術思想を縦横無尽に活用して進められる議論の手助けに、日本語版では人物を中心とした「用語説明」を附す。原題『執拗的低音ーー一些歴史思考方式的反思』(允晨文化実業公司、2014年)。
台湾人研究者が中国の思想・文学・歴史を紐解く学術専門書シリーズ第二弾。
はじめに
一、低音に耳を澄ます
二、時間の序列
三、多元的な資源
第一講 執拗低音ーー歴史的思考に関する若干の考察
一、事実の再構成と価値の宣揚
二、「学」とは何か
三、「西洋化」の過程
四、「創造的転換」と「消耗的転換」
五、現代学科の設置を改めて考える
(一)経学(二)史学(三)哲学(四)仏教学
六、限定合理性
七、「時間の序列」と「後知恵バイアス」
八、伏流
結論
質疑応答
第二講 「心力」と「破対待」--譚嗣同『仁学』を読む
一、譚嗣同の生涯
二、思想の淵源
三、『治心免病法』から『仁学』へ
(一)『治心免病法』(二)『仁学』(三)エーテル
四、君権の排除と排満
五、清末民国初期における『仁学』の影響
結論にかえてーー世界を改造する巨大な力
質疑応答
第三講 王国維の「道徳団体」論及び関連問題
一、殷周変革より説き起こす
二、ドロイゼンの「道徳団体」論
三、観念の旅行
四、矛盾の綱引きーー王国維の学問観の変化
五、「道徳団体」-史学と倫理の結合
結論
質疑応答
第四講 「風」--なおざりにされた史学概念
一、劉咸炘の生涯と思想の淵源
二、「風」とは何か
三、史体と「風」
四、宇宙は「網」のごとし
五、「風」と近代新史学
結論
質疑応答
附論一 伝統の非伝統性ーー章炳麟思想の諸側面
一、「済民」と「扶弱」の要素を再建する
二、「文明」否定という思想の特質
三、伝統の非伝統性から一切を再評価する
附論二 時代への関心と歴史解釈
一、歴史家はいかに実践するか
二、歴史家の時代的任務
おわりに
一、過去の様々な「音調」に耳を傾けること
二、 現象や価値を「本質化」せぬこと
参考文献
用語説明
訳者あとがき(佐藤仁史)
人名索引
レビュー(0件)