●「旧版」に加えて新たに設けられた第3 部は,1980 年の DSM-III 以来変化し続けた外傷理論の軌跡や今後の行方を示す論考を集めたものである。外傷とは,脆弱性やその他の偶発的な要素により外傷性精神障害を招くに至ったものと捉えなおすことができる。-外傷の新たなパラダイムの提起,待望の新版。
●目次
まえがき
第1部 外傷理論入門
第1章 「外傷理論」 とは何かーー入門セミナー(1)
外傷理論とは物事を捉える際の一種のレンズである/「患者の症状は,過去の外傷の繰り返しである」 という視点/他
第2章 外傷とは何かーー入門セミナー(2)
外傷を定義する/外傷を理解するためのモデル/外傷性の症候学ーー3つの特徴/もう一つの外傷一一陰性外傷
第3章 治療に向けての心構えーー入門セミナー(3)
精神が健康であることのひとつの条件ーー外傷を受けたことがないこと/ステレオタイプな治療観と禁欲主義/他
第4章 精神分析における外傷理論(1)--その全体像
外傷論的な視点は従来の分析理論に内在化していた/解離の病理と精神分析/フロイトおよび古典的分析に見られる外傷理論/他
第5章 精神分析における外傷理論(2)--フロイト以後
フロイトの同時代人による外傷理論/英国対象関係論(スキゾイド理論およびウィニコッ トの理論)/バリントの理論に見られる外傷論的視点/他
第2部 外傷性精神障害を知る
第1章 外傷性精神障害にはどのようなものがあるか
第2章 外傷の分類
外傷体験の分類/外傷性精神障害の分類の一つの試み
第3章 心的外傷後ストレス障害(1)
PTSDの概念の歴史/外傷概念が再認識されるまで/PTSDの診断基準の変遷/ASD(急性ストレス障害)の症状と診断基準/他
第4章 心的夕事傷後ストレス障害(2)
天災,災害による心的外傷をいかに捉えるか/地震によるPTSDの特徴/被災者に対するグループ療法について
第5章 解離性障害
1.ヒステリー概念の歴史と最近の動向 2.ヒステリー概念の歴史的変遷 3.現代におけるヒステリー論としてのPTSDの概念
第6章 解離性障害(2)
解離の定義とその実際の臨床像/何が,どこに解離されるのか?/解離の概念の始まり/解離と抑圧ーーまたはジャネとフロイトの立場の相違/他
第7章 解離性障害(3)
MPDはなぜミスノマー(誤称)だったのか?/米国におけるDID概念の発展/DIDの臨床像と診断上の問題/DIDとBPDは異なる精神障害か?/他
第8章 外傷性障害としての境界性パーソナリティ障害
BPD概念の起源/葛藤モデルから欠損モデルヘ/BPDの外傷説の発展/外傷性精神障害としてのBPDの症候学/他
第3部 外傷理論を越えて
第1章 「外傷性精神障害」の再考
「外傷性精神障害」なるものは本当に存在するのか?/なぜ外傷概念の「流行」はこれほど遅れたのか?/他
第2章 外傷概念の拡大と拡散
心的外傷の概念に関するパラダイム・シフト/DSMにおける主観性のクライテリアの導入/パラダイム・シフトに貢献した疫学的なデータ/他
第3章 PTSDと解離の架け橋としてのASD(急性ストレス障害)
「外傷周縁の解離」という概念をめぐって
第4章 外傷性精神障害は「神経症」の一種なのか?
神経症の概念は消失したのか?/そもそも「神経症」とは何か?日常感覚から入ってみる/神経症概念の再建/他
第5章 外傷性精神障害は「パーソナリティ障害」なのか?
臨床の立場から/ハーマンと境界性パーソナリティ障害の外傷説/BPDとパーソナリティ障害ーーハーマン以後/他
第6章 日常の出来事の外傷性ーー「ライフイベント」の概念および過剰な「現実」
ライフイベントと外傷/「外傷」概念とライフイベント/外傷と日常生活の喪失/外傷性と精神病理原性/ライフイベントとしての「現実」/他
第7章 レジリエンスーー外傷理論を越えて
レジリエンスという概念/レジリエンスと外傷性精神障害/レジリエンスは遺伝するか?/外傷理論を越えて/他
第4部 外傷性精神障害の治療
第1章 精神療法の基本的な考え方
「支持的」アプローチか「探索的」アプローチかをめぐる論争/支持的技法の概念の再評価/他
第2章 基本的な介入の手続き(危機介入,除反応,リラクゼーション)
急性の外傷に対する介入と,いわゆる「除反応」/除反応の概念/除反応の具体的な手順/除反応に関連した臨床例/他
第3章 全体的な治療プロセス
治療の前提/精神療法的アプローチ
第4章 ある治療例の実際(1)--PTSDの発症と治癒過程
第5章 ある治療例の実際(2)--DIDの治療の分析的アプローチとの比較と考察
文献
付録 解離性障害のスクリーニングツールとしてのDES(解離体験尺度)
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