本書は、神聖視されてきた孔子の実像を資料に基づいて明らかにし、アプリオリに存在する経典として神格化されてきた『論語』の成立過程を学問的方法論を以て究明した初めての書である。
本書は幅広い読者を対象としている。漢文や英文に自信がない人でも理解できるように、注解や説明を多く加えた。また巻末には引用した古典文献や論語注釈書の概要を分かりやすくまとめた「古典文献解題」、「論語注釈書解題」を掲載した。本書は日本社会の基盤哲学である儒教思想の祖師孔子の実像と論語成立事情を専門外の人々が会得できることを目指した。本書は専門書の新ジャンルを切り開いた画期的な論文集である。
第一部
孔子の思想と生活─最晩年の孔子に焦点を当てた一考察─
第一章 はじめに
第二章 顔淵逝去迄の孔子の人生
第三章 孔子にとって顔淵とは誰だったのか?
第四章 顔淵の死が孔子を滅ぼした理由
第五章 最晩年の孔子の思想と生活
第六章 結語
展望:儒学の世界での今後の位置について
第二部
『論語』編纂の編集者たちの動機面から考えた『論語』成立過程の一考察
古典文献解題
『論語』注疏解題
索引
レビュー(1件)
専門の研究者以外も楽しめる
孔子が生きた時代背景を説明した上で、論語がどのように編纂されたか筆者の述べられている。 特に晩年の孔子について論考するために顔回について詳い。 晩年の孔子は聖人君子ではなく、年相応に衰えが見られたであろうという論に賛同できる。 解説が丁寧なので一般の方でも読み進めることができる。 筆者は20年以上にわたり孔子とその事態について研究を重ねられているが、日本のみならず米国でも多くの研究者が孔子について研究されていることに驚かされた。 一方、私自身は孔子について中国の有名な儒学者でいくつかの故事成語や経営戦略として現代でも論語が読まれている程度の知識しかないことに気が付かされた。