【輸入盤】ピアノ協奏曲全集 マティアス・キルシュネライト、ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団(2CD)
キルシュネライト&ヴュルテンベルク室内管
ハイドン:ピアノ協奏曲全集(2CD)
「おそらくモーツァルトはもっと歌っているでしょう。しかしハイドンは語り、まくしたて、歓声をあげます。そして人生の非常に深刻なことも伝えているのです。」
ドイツのピアニスト、マティアス・キルシュネライトは、ベストセラーとなったモーツァルトのピアノ協奏曲全集のCDや、数々の来日公演でも有名です。
1982年の初来日からちょうど40年目の2022年秋、20回目の来日を果たしたキルシュネライトですが、近いタイミングで登場したハイドンのピアノ協奏曲全集がなんとも凄い出来栄えとなっております。
日本と縁のあるキルシュネライト
子供の頃、ピアニスト志望のきっかけを与えてくれたのは日本文学研究者のお姉さまイルメラさんの夫である日本画家だったというキルシュネライト。
牧師の父の仕事の影響で、幼少期に北ドイツの湖の町からアフリカの砂漠や高原の町に引っ越したりと、得難い経験を積んだキルシュネライトだけに、何ごとにも果敢にトライするタフな精神は、音楽解釈の可能性の検討、語彙の豊富さにも繋がって、作品から意外な魅力を引き出してくれるのがさすがです。
ここでも、よくある平板系のハイドン解釈とは一線を画す、喜怒哀楽表現に満ち満ちた素晴らしいハイドン演奏を聴かせています。
ピアニスト弾き振り演奏
このセッション録音では、キルシュネライトの意図を細部まで徹底するために、ピアニストが指揮者も兼ねる「弾き振り」で演奏されています。キルシュネライトはヴュルテンベルク室内管弦楽団の楽員たちと常に意見を交換し合い、音量やイントネーションに関する議論も頻繁におこなわれ、変更と再調整を繰り返し、納得の行く形にもっていったのだとか。
ハイドンのエステルハージ時代の作品が殆どということで、キルシュネライトが適宜追加した小さな装飾やスケール、オクターヴなど、作品を彩るサウンドが、そうした楽員たちとのやりとりもあって、適度な緊張感を湛えながら全体の中で巧みに表現されています。
特に面白いのが、CD1の最後に収録されているピアノ三重奏曲第25番『ジプシー・トリオ』の第3楽章です。ここではピアノとオーケストラのために編曲されたヴァージョンを用いたことで、アグレッシヴなジプシー・サウンドが痛快な聴きものとなっています。編曲はハンブルク室内オペラとリューネブルク室内管弦楽団の音楽監督を務めるイタリア人指揮者で作曲家のエットーレ・プランディが担当。
レーナ・ノイダウアーも参加
アルバムの最後に置かれた「ピアノとヴァイオリンとオーケストラのための二重協奏曲」では、2017年にキルシュネライトとメンデルスゾーンの二重協奏曲(独CPOレーベル)でも共演していたドイツの有名ヴァイオリニスト、レーナ・ノイダウアーをヴァイオリン独奏者として迎えています。
ミュンヘンに生まれたノイダウアーは3歳でヴァイオリンを始めて10歳でオーケストラと初共演、11歳でモーツァルテウム音楽院に入学。1999年、アウクスブルクのレオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリン・コンクールで優勝し、モーツァルト賞、R.シュトラウス賞、聴衆賞も同時に獲得。以後、20年以上に渡って世界的に活躍しています。
優秀録音
セッション録音会場となったのはバーデン=ヴュルテンベルク州ハイルブロン郡にある2つのこじんまりとしたホール。
2021年2月のセッションでは、エルレンバッハの「ズルムタールハレ」が使用され、CD2に収録された、Hob.XVIII:1、Hob.XVIII:3、Hob.XVIII:11の3曲を録音しています。
2022年2月のセッションでは、ヴィッデルンの「ヴィルヘルム=フライ=クルトゥーアハレ」が使用され、残りの作品をすべて収録しています。
収録に当たっては、18本のマイクロフォンを用いるなどして演奏の様子を細大漏らさず完璧に収録、どちらのホールでも情報量の非常に多い音に仕上がっています。
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