女性との関係から読む、生涯とオペラ
モーツァルトが人生でもっとも大きな影響を受けた人物を挙げるとすれば、父親のレーオポルトだが、一方で女性たちとのかかわりも、彼の人生と音楽にとって大きな意味をもっている。著者はモーツァルトの生涯を、女性たちとの関係から読み解く。有能ではあるが猜疑心が強く女性嫌いの父親と、献身的な母親、神童としての教育と栄光を与えられながらのちにそれを奪われた姉のあいだで育まれる、モーツァルト自身の女性観。恋人たち、妻、妻の家族たちの人物像。彼が女性に寄せるさまざまな心情や共感は、オペラの作品中で精彩に富んだ数々の女性役を生み出し、その心理までをみごとに解き明かしている。
そしてまた本書では、オペラを作曲するときに起用した(あるいは、起用せざるをえなかった)歌手たちによって、楽曲がどのような形をとっていったかが描かれている点がユニークである。モーツァルトの音楽を見ていくと、しばしば歌手たちの技量や声域、特技が読み取れ、ときには人柄までも透けて見えることがあるのだ。
オペラの製作現場にいる著者ならではの分析が楽しめる一冊。
前奏曲
モーツァルトの家族
モーツァルトのもうひとつの家族
モーツァルトとオペラの女性たち
モーツァルト亡きあと
後奏曲
謝辞
日本語版についてーー監修者あとがき
訳者あとがき
図版クレジット
参考文献
原註
索引
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