インド北部、ヒマラヤの西外れの高地、ザンスカール。冬になると他の都市をつなぐすべての道が雪と氷に閉ざされるが、厳寒期の1、2月になると、凍結したザンスカール川を歩いて行き来できる幻の道が現れる。この「チャダル」と呼ばれる道を辿る旅は、遠い昔からザンスカールの人々によって受け継がれてきた稀有な伝統であり、世界中のトレッカーにとって憧れの旅路でもある。
しかし、冬のザンスカールの真の姿を見届けるには、チャダルを歩いて辿り着ける場所からさらに奥へと踏み込んでいかなければならないことは、あまり知られていない。
ザンスカールの最深部の山中にある僧院では、「プクタル・グストル」という祭礼が行われると伝えられている。真冬のこの祭りを見届けるため、マイナス20℃にもなる極寒の世界の中、著者が約4週間かけて歩きぬいた苛烈な旅を、詳細に記した紀行文。
ふんだんに掲載された真冬の街、人々、生活を捉えた写真は、資料としても価値のある一冊。
第一章 ザオ・ニンパ
第二章 チャダル
第三章 ルンナク
第四章 プクタル
第五章 ミツェ
レビュー(6件)
最果てで生を得た気がした。
冬に咲く花があるのか見たくて購入しました。さすがに花は咲かないかぁと納得させられる厳しい環境があり、そこにチャダルができるんだーなんて読み進めながら引き込まれていきました。途中から子供の頃観た「ネバーエンディングストーリー」の本を屋根裏部屋で読む男の子になったような気持ちになりました。花は見つけれなかったけれど、ここでは得られない暮らしの慎ましさ、愉しさ、単調の中の心の豊かさ、そして現地の女の子らのキラキラした笑顔がとても印象的で、同じ地球上で環境でこんなに異なるなら、自分もかわれる気がしました。