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囚人たちの北海道開拓裏面史。明治十四年、赤い獄衣の男たちが石狩川上流へ押送された。無報酬の労働力を利用し北海道の原野を開墾するという国策に沿って、極寒の地で足袋も支給されず重労働を課せられる囚人たち。「苦役ニタヘズ斃死(へいし)」すれば国の支出が軽減されるという提言のもと、囚人と看守の敵意にみちた極限のドラマが展開する。(講談社文庫) 囚人たちの北海道開拓裏面史 「脱獄」か「死」か 苦役から逃れる方法は他にない 明治十四年、赤い獄衣の男たちが石狩川上流へ押送された。無報酬の労働力を利用し北海道の原野を開墾するという国策に沿って、極寒の地で足袋も支給されず重労働を課せられる囚人たち。「苦役ニタヘズ斃死(へいし)」すれば国の支出が軽減されるという提言のもと、囚人と看守の敵意にみちた極限のドラマが展開する。 二月下旬、かれらはやってきた。氷結した石狩川沿いにのぼってきたかれらは、足もほとんど動かぬらしく小刻みに雪の中を集治監の大門に近づいてゆく。朱色の獄衣も編笠も、雪におおわれていた。白い列は門を入り、獄舎にみちびかれた。かれらは言葉を発することもなく、房の中でうつろな眼を弱々しくしばたたいているだけであった。看守長の命令で、雑役の囚人が味噌汁と麦飯を入れた桶をはこび、椀に入れて配った。味噌汁を口にした囚人の一人が、「極楽」と、息をつくようにつぶやいた。--<本文より>
レビュー(44件)
つまらん!!
今まで此方の著者の本は何冊か読みました。何れも時代背景が古いのですが、中にはまぁまぁの内容の本もありました。しかし、此方の作品は全く面白くありませんでした。ページをめくる手が進まず途中で放棄!!無駄な買い物をしました。
北海道開拓の歴史がわかる
極寒の地、未開拓の地、北海道の開拓の歴史が痛いほど厳しく、辛く、そしてむごいものだったかがわかる。本当に人間は鬼であり、本当の悪が何であるか、今もつづく権力による統治がよくわかる。この本を読んで北海道の開拓魂を考え直したい。
集治監という今では考えられないような、政治犯や重罪犯を収容する施設が、北海道に数か所設置されていたことは知っていました。しかし、無人の地を開墾して道路建設という作業をさせる中で、彼の地の気候を無視した装備や看守同士の競争をあおり、無意味に収容者を死亡させたことは罪が大きいと思います。