日本の家は、とくに江戸時代にかけて玄関、座敷、茶の間、居間、納戸、湯殿、内便所など、それまでなかった新しい空間が生まれ急速に発展し、それらは現代の家の基礎となった。
これまで江戸時代の家は封建的で古めかしく、単に和室を並べただけいわれてきたが、多くの史料を調べてみると地域の風土と文化によって養われた多様性を見ることができる。そして幕末の下級武士が書き遺した絵日記などから、武士の階級および町人、僧侶といった身分の違いに関係なく、たがいの家に気軽によく集まり、人とのつながりはきわめて親密で開放的であったという。
本書の一章から三章では、現代の家の原点というべき江戸時代の家を見直し、身分制社会のなか、家も武士、農民、町人など、独自の発展をしていた江戸時代の家の特質を探る。四章では、隠者の家と題して江戸時代に生きた芭蕉と良寛の庵と暮らしの風景を述べる。世俗を離れ自然の中で清閑の暮らしを歩んだ彼らの人生をたどり、粗末で貧しい暮らしではあっても、よろこびが謳歌されていた彼らの家と暮らしの豊かさを考える。
※本書は『江戸時代 日本の家』(相模書房,2011)に著者による大幅な改訂を加え図版を増やし刊行するものです
レビュー(4件)
実に面白い書籍です。 武士の家、農民の家、町人の家、隠者の家…と章ごとに載っています。図版もそれなりに。 京都公家町のは目にしたのは初めて。興味深いですね。公家町の上級武士の家、公家町の与力の家、公家町の同心の家をはじめ、間取りがかなり載っていて見比べるのも面白い。同じ与力の家でも間取りは異なるのですね。 とにかく、総じて面白くて資料としても十分に役に立つものですが、高いのが難点。カラーがないのだから、もう少し価格を抑えてほしかった…。
比較的
当時の説明と同時に間取りも記載されておりイメージもしやすい。ただ、間取りが正確であればあるほど、現存する江戸時代からの古民家、というものはやはり当時の「一般庶民」のものではなさそうであると感じる。