物語と治療としての精神分析
: アントニーノ・フェロ/吾妻 壮/小林 陵/吉沢 伸一
著者のアントニーノ・フェロは,クライン派精神分析の訓練を受けた後,ビオンの革新的なアイディアと南米のバランジェ夫妻のフィールド理論に強く影響を受け,さらに物語論を参照し独自の観点から「ビオニアン・フィールド理論」を構築したことで知られる。
本書では,治療関係を捉える「転移?逆転移」という従来の枠組みを更新し,「フィールドの機能」という新しい視座を提唱している。患者と分析家双方によって織り成されるフィールドにおいて,二人の心の交わりがナラティヴとしていかに表現されるのか,そして,それをどう理解し共同の語り直しが展開していくのかが多彩なケース・ヴィネットとともに示される。
文学作品や映画から物語を読み解く臨床的示唆を得ながら,生じうるナラティヴのマトリックスとしてのフィールドを精神分析的に探究する魅力的な論考。
第1章 ナレーションと解釈
第2章 一握の真実を含むーかもしれないー物語をわが身に語ること
第3章 C行を讃えて:特殊な形態の文学としての精神分析
第4章 分析家の面接室におけるナラティヴのジャンルや方言としてのセクシャリティ:先進的な頂点
第5章 覚醒時の夢:理論的および臨床的諸側面
第6章 妄想と幻覚
第7章 文学におけるキャラクターと分析家の面接室におけるキャラクター
第8章 アクティング・アウト,逆転移,多世代にわたるフィールドについて
第9章 子どもと思春期の分析:基盤にある統一性を覆い隠す類似点と相違点
第10章 プレイ:キャラクター,ナレーション,そして解釈
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