17世紀前半の国際都市アムステルダムで奏でられたリュートの音楽
ニコラ・ヴァレ:リュート曲集
ヤーヴォル・ゲノフ(リュート)
バロック初期のアムステルダムで作曲・演奏されていたリュート音楽の一端を垣間見ることのできるアルバム。多国籍的な曲種に加え、リュートによる詩篇演奏が聴けるのがユニーク。ブックレット(英文)には、演奏者自身によるニコラ・ヴァレについての解説が掲載されています。
ユグノー戦争
作曲者のニコラ・ヴァレ[c.1583–c.1642]は、フランスで生まれ育ったカルヴァン派の音楽家。ユグノー戦争がカルヴァン派の敗北で終結した1598年にはヴァレはまだ15歳ほどで、その後15年間、カルヴァン派の人々は不自由な生活を強いられるものの、若いヴァレはなんとかフランスで生き延びていました。
オランダ独立戦争
一方、隣接するフランドルでは、カトリックのスペイン王国による圧政が引き起こした80年戦争(オランダ独立戦争)が進行中で、プロテスタントが完全に優位となっていた休戦時期(1609〜1621)の1613年にヴァレはオランダに移住する道を選んでいます。
国際都市アムステルダムで亡くなるまで生活
1621年にはスペインによるフランドル攻撃が再開されますが、人口10万人近いアムステルダムは金融・交易の要衝ともなっていたことから平和が維持され、ヴァレも音楽や踊りを教えて生計を立てたほか、3人のイギリス人音楽家と組んでさまざまな演奏活動も展開。また、ジュネーヴ詩篇に含まれるカルヴァン派の詩篇をリュートで演奏するなどして独自の領域を開拓してもいます。オランダ移住後は約30年間アムステルダムを拠点として暮らし、楽譜の出版もオランダでおこなっていますが、その際の言語はフランス語とラテン語でした。
リンドベリに師事したブルガリアのゲノフ
演奏は高名なヤコブ・リンドベリからリュートと通奏低音を学んだブルガリア出身のリュート奏者で音楽学者のヤーヴォル・ゲノフ。ここでは、ガット弦10コースのリュートを、415Hzのピッチで演奏しています。
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演奏者情報◆ ヤーヴォル・ゲノフ (リュート)
ヤーヴォル・ゲノフは、エマ・カークビー、ヌーリア・リアル、アンドルー・ローレンス=キング、ラース・ウルリク・モーテンセンといった有名音楽家と共演経験があるブルガリア出身のリュート奏者で通奏低音奏者、音楽学者。
CDは、Brilliant Classicsから発売。
トラックリスト (収録作品と演奏者)ニコラ・ヴァレ [1583-1642]
1. ◆ アヴィニョンのブーレ 1:42
2. ◆ バレエ III 1:32
3. ◆ 前奏曲 III 1:01
4. ◆ イタリアのパッセメッツォ 3:24
5. ◆ パッセメッツォのガイヤルド 1:13
6. ◆ パヴァンヌ 5:39
7. ◆ イタリアのパッセメッツォによる幻想曲 3:52
8. ◆ スペイン風サラバンド 0:42
9. ◆ ガイヤルド 1:21
10. ◆ クーラント 1:15
11. ◆ 前奏曲 2:57
12. ◆ 詩篇 53番 狂気 3:34
13. ◆ マリアの雅歌 2:50
14. ◆ 天の父 6:37
15. ◆ 前奏曲 I 1:10
16. ◆ イングランドの幸運 1:07
17. ◆ マルシム 1:26
18. ◆ 眠れ、甘く眠れ 1:33
19. ◆ バレエ I 1:27
20. ◆ エセックス伯爵のガイヤルド 4:31
21. ◆ ラ・ピッカルド 1:02
22. ◆ ラ・ヴァレット 0:51
23. ◆ 若い娘 3:05
24. ◆ スペインのパヴァンヌ 2:27
25. ◆ 緑の菩提樹の下で 1:24
26. ◆ 村のカリヨン 2:37
ヤーヴォル・ゲノフ(リュート)
録音:2023年1月19〜23日、ブルガリア、ソフィア、ANPミュージック・プロダクション
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