合理的配慮やバリアフリーの後に残るもの
階段だけの駅のホーム、手の届かない位置にあるボタン、点字ブロックの上に立ち止まる人、「かわいそう」という感想……。障害者に対する物理的な障壁(バリア)や人々の価値観が、あるいはそれらによって生じる障害者自身の自己否定が、障害者の可能性を制限する。「障害のある身体の経験」に注目し、「障害」をアイデンティティの視点からとらえ直し、障害者と健常者の「協働」の先に健常者を中心とした文化・価値観を見直す可能性を模索する一冊。
第1章 障害理解をめぐる課題と展望
第1節 障害理解と障害の社会モデルの課題
第2節 「障害の社会モデル」の再検討
第3節 健常者を中心とした社会の価値観の反省と障害者と健常者の協働
第4節 刊行の目的と本書の構成
第2章 障害者運動とアイデンティティ形成
第1節 アイデンティティと他者との相克
第2節 障害の社会モデルと差異派障害者運動
第3節 1970年代の「青い芝」神奈川県連合会と「障害」アイデンティティの確立
第4節 1990年代の自立生活センターによるピア・カウンセリングとアイデンティティ形成
第5節 身体的存在としてのアイデンティティ
第6節 私と他者が共に生きるアイデンティティ
第3章 重度障害者の障害認識とその変容
第1節 障害受容論とアイデンティティ
第2節 2人の重度脳性マヒ者へのインタビュー調査
第3節 Xさんのライフストーリー
第4節 Yさんのライフストーリー
第5節 2人のライフストーリーからみえてくる障害への認識とその変化
第6節 ま と め
第4章 障害者介助の社会化と介助関係
第1節 障害者の自立生活と介助の社会化
第2節 介助行為への意識
第3節 介助の社会的労働化と介助行為の意味変容
第4節 介助関係への意識
第5節 介助をとおした他者との向き合い
第5章 障害者と健常者による芝居作りを通じたスティグマの解消
第1節 スティグマとしての障害とその解消
第2節 水俣世田谷交流実行委員会への参与観察
第3節 水俣世田谷交流実行委員会の概要
第4節 芝居作りの中でのスティグマの理解
第5節 障害をめぐるスティグマの共有の技法としての「対話」
第6節 ま と め
第6章 世田谷における障害者運動の生成と展開
第1節 自立生活と地域
第2節 自立生活運動の展開
第3節 まちづくり運動の展開
第4節 1990年以降の障害者運動の展開
第5節 新たな地域像とその限界
第6節 障害者の自立生活を地域に開くこと
第7章 障害者の参加による福祉のまちづくり
第1節 福祉のまちづくりの課題
第2節 「ふれあいのあるまちづくり」事業での取り組み
第3節 世田谷区福祉のいえ・まち推進条例の制定をめぐる取り組み
第4節 福祉のまちづくりへの障害者の参加
第5節 まちづくりの一部としての「福祉のまちづくり」
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