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両親を失いながらも、太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさんとの絆、ヤギ飼いのペーターやその家族とのふれあい、足の不自由な少女クララとの出会いと友情ーー。雄大な自然を背景に、深い喪失感を抱く人々が、ひとりの少女によって人間性を回復し再生していく、愛と感動の物語。 1880〜81年に発表された『ハイジ』は、当初から大評判となり、いまも世界中で翻訳・劇化・映像化されている。日本でもアニメが大ヒットし、児童文学として多くの絵本や抄訳が出版されているが、原作は、家族の絆や地域社会との共生、エコロジーな暮らしへの回帰など現代的なテーマにあふれ、大人にこそ考えさせられることが多い本格的な文学作品である。 本書は、シュリンク『朗読者』の翻訳で数々の賞を受賞した、ドイツ文学者・松永美穂氏による渾身の完訳。 ◆第1部 ハイジの修業と遍歴の時代 アルムのおじいさん/おじいさんのところで/牧場で/おばあさんのところで/二人のお客さんと、それに続く事件/まったく別の生活と、たくさんの新しいこと/ロッテンマイヤーさんの落ち着かない日々/ご主人が帰ってきて耳にした、前代未聞のことがら/おばあさま/ハイジの喜びと悲しみ/ゼーゼマン家の幽霊/アルムへ帰る旅/日曜日、教会の鐘が鳴るとき ◆第2部 ハイジは習ったことを役立てられる 旅行の準備/アルムへのお客さま/恩返し/デルフリ村の冬/まだまだ冬は続く/遠くのお友達が動き出す/アルムでのそれからの日々/誰も予想しなかったこと/お別れしても、また会える
レビュー(7件)
大好きな本なので、欲しくて買いました。文庫本なので、持ちやすくて、読みやすい。
懐かしいハイジ、新しい魅力の発見。
美しい表紙の絵と、松永美穂さんの丁寧な翻訳に惹かれて購入しました。 幼い頃にアニメで観たハイジが浮かんで懐かしい気持ちになりましたが、それ以上に、キリスト教文学としての魅力が際立っています。 信仰を持って生きる素晴らしさが、作品の至るところに光り輝いていて、ハイジって本当はこんなにも尊い物語だったのか……「牧歌的な日常生活を描いた作品」というイメージが完全に払拭されました。神様の愛、ハイジの純真さ、登場人物の心の成長に感動して、涙、涙、涙……の連続。 繰り返し読みたい作品、そして大切な人に贈りたい物語です。