本書は第34回(2021年度)和辻哲郎文化賞の最終候補となった作品。
嘗ての長州藩であった山口県宇部市は、明治維新の震源地の一つでもある。世界への視点を持ち、進取の気性に富んだ風土の中で、産業、技術革新、伝統文化を「共存同栄」させた二人の巨人がいた。維新の精神を実業で体現し続けた実業家・俵田明(たわらだあきら、1884〜1958)、いかなる様式にもとらわれないデザインを発想し続けた建築家・村野藤吾(むらのとうご、1891〜1984)。彼らが描いた革新の姿を身近な街や人々の記憶の中に再発見するための一冊。◆当時の人々の精神を継承するにはどうすればよいのかを伝えようとする、著者のこだわりが光る力作。
I 未完の維新
II 二人の足跡 ●俵田明の巻/目黒の火薬製造所/二度目の洋行●村野藤吾の巻/様式の上にあれ! /タトリンの〈革命記念碑〉
III 渡邊翁記念会館 ピアノとハーモニカ/鷲とハーケンクロイツ/ファッショ座談会
IV 村野作品を俯瞰する 二代目宇部銀行/三階建ての挫折
V 戦後の風景 産業祈念像/ダムと観光
VI 継承される文化 宇部好楽協会/俵田邸と松田正平
レビュー(0件)