前著『発達障害支援のコツ』(岩崎学術出版社、二〇一八年)では、発達支援にあたっての基本的な心構えを中心にお話ししました。発達障害の知識や支援の具体的な技法については、これまでに多くの類書が出版されており、著者が付け加えることも多くはないと思ったからです。続編である本書に際しても、その思いにかわりはありません。ただ、支援の実際の有り様については、前著で触れられなかったことも多く、筆者が日々の発達支援で実践していることを中心に述べていきたいと思います。なお、本書は単著としても読めるようにしたため、前著と若干の重複がありますが、ご容赦いただければ幸いです。さて、発達障害の頻度は人口の一割にも及ぶと言われ、もはや専門性の高い従来のやり方だけでは、行き届いた発達支援はできません。まず、現時点では発達障害の原因は不明ですから、原因を見つけて治療するという「医療モデル」では太刀打ちできません。障害とそうでない状態との線引きも曖昧であって、定型から外れている障害児を専門機関に集めて訓練するという「療育モデル」でも、うまくいきません。発達支援の基本は「生活モデル」です。発達の凸凹があっても、毎日の生活が満ち足りていくこと、凸凹の克服ではなく、凸凹を活用した人生になっていくことがゴールになります。そのためにも、「支援者が障害者に支援を与える」という枠組みから脱却する必要があります。支援者も障害者も発達の凸凹を持った一人の人間です。縁あって支援者と障害者が出会い、より良い生活に向けての共同作業を開始し、支援のゴールを目指すのです。ここで、支援のゴールとは、自分の特性を知って、適切な対処ができるようになることです。苦手なことは何とかくぐり抜ける、回避も、時には正解です。そのためには、自分の特性や凸凹、あるいは自分の癖を知る必要があります。本書は支援者と一緒にその作業をしていく手引書のようなものです。(「はじめに」より)
はじめに
第1章 支援の基本フレーム
1 はじめに
2 発達支援の8ステップ
3 発達支援でしていること
4 医学・医療・医師の役割
5 オープンダイアローグを生かした発達支援
6 三角形の構図
第2章 発達障害を知る
1 発達障害=発達凸凹+不適応
2 発達障害のアセスメント
3 対応の要点
第3章 支援の素材を知る
1 支援者自身の特性を把握する
2 凸凹や特性を知る
3 障害観を確認する
4 人的環境の特性を把握する
第4章 いま、ここでの特性を把握する
1 モニターして提案する
2 やりとりの実例
3 やりとりにあたっての留意点
第5章 障害告知から自己理解へ
1 診断名の伝達
2 そもそも障害告知とは?
3 発達障害の本人告知──誰が、何を、どのように伝えるか?
4 いつ伝えるか
5 はっきり伝えないケース
6 自己理解は深まったか?
第6章 これからの発達にむけて
1 発達障害のある子育て
2 過去を生かす・振り返ってみる
3 支援のゴール
あとがき
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