「私たちの働く場」
「船がかわいそう」
「自分が生きてきた証し」
「恥の場」
東日本大震災の被害の大きさを伝える「震災遺構」。しかし、保存か解体かをめぐっては、人びとの間で大きな葛藤があった。遺された遺構に人びとはどのような意味を見いだしていったのか。
●著者紹介
坂口奈央(さかぐちなお)
岩手大学大学院総合科学研究科地域創生専攻・地域防災研究センター准教授。1975年生まれ。静岡県富士市出身。(株)岩手めんこいテレビ報道部アナウンサーとして13年務めたのち、研究者を志す。東北大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。専攻は災害社会学。主な論文に、「ライフヒストリーから読み解く3.11からの復興と「生き直す」こと」(『日本オーラル・ヒストリー研究』18、2022年)、「なぜ三陸の被災者は自然地物を「おらほの遺構」と語るのかーー過程が育てるシンボル性」(『地域安全学会論文集』42、2023年)などがある。
はじめに
第1章「いま、ここ」を動的に捉える
第1節 「遺構」という言葉から読み取る
第2節 ひとくくりに捉える弊害
第3節 プロセスから読み解く
第2章「震災遺構」をめぐる動き
第1節 保存に向けて
第2節 問われた被災地の当事者性
第3章 船ーー漁業に翻弄された生活と生産
第1節 三陸の漁業
第2節 「はまゆり」をめぐる葛藤ーー岩手県大槌町赤浜
第3節 浜の母ちゃんたちの生活史
第4節「共徳丸」を哀れむ人たちーー宮城県気仙沼市鹿折
第5節 地域をつくり育ててきた船
第4章 公的機関を遺す難しさ
第1節 なぜ解体を望んだのか
第2節 大槌町旧役場庁舎をめぐる経緯
第3節 語られ方
第4節 「恥の場だから」--震災時六〇代男性の生活史
第5節 二重の敗北感が映し出されることへの抵抗
第5章「おらほの遺構」--回復する自然地物
第1節 回帰的時間の定点
第2節 「弁天様」--岩手県大槌町赤浜
第3節 「ど根性ポプラ」--岩手県大船渡市越喜来
第4節 災害をポジティブに変換する装置
第6章 震災遺構論の新たな地平を拓く
第1節 遺されたモノから「震災遺構」へ
第2節 生き続けていくために
参考文献
あとがきーーお世話になった皆さまへ「ラブレター」
索引
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