「私がウニみたいなギザギザの丸だとしたら、恒士朗は完璧な丸。すべすべで滑らかで、ゴムボールのように柔らかくて軽いの。どんな地面の上でもポンポン弾んで生きていけるし、水の上ではプカプカ浮くことだってできる。それに比べて私は、ところどころ穴だらけで、形も微妙に歪んでて、ギザギザの棘だって見かけだけで実際は簡単にポキッと折れちゃうし。そのくせ『きれいな水の中でしか生きられな〜い!』とか言っちゃって、とことん自分が嫌になる」この“満たされなさ”はどこから来て、どこへ向かっていくのだろう……。あの頃、私の頭の中は「セックス」と「母乳」でいっぱいだった。 * * * この〈2020年〉というーーある意味では不慣れで特殊な、しかしある意味ではまるで変わりのない日々をーー意欲的かつ希望的に過ごしていくために(そう、自分自身の主に「心」を生き延びさせるために)、私は自分に「作品を『紙の本』にする」という許可を与えることにした。 きっかけは2020年7月、あの蟹座の季節に、息ができなくなるほどのしい出来事があったから。夢の1つが、完全に、永遠に、消えてしまったから。 だから…… だけど…… それでも…… だからこそ…… 泣きながら進もうと決めた(「泣いてるひまなんてない/泣いてる場合じゃない」ではなく、もう「泣きながら」進むのだ)。新たな気持ちで「一歩」、動くことを決意した。 いつまで経っても〈夜〉が明けないなら、〈夜明けの気配〉すら全然訪れないのなら、自分で自分の《内なる太陽》を、呼び寄せるしかない。引っぱり上げるしかない。 そしてひとりでも叶えられる夢は、自力で実現させていこう。そう思った。 ここから「一歩」、小さくても「一歩」、進む。進める。それを積み重ねていく。その先に「出会い」があることを、出会う約束をしてきたはずの「仲間」がいることを(今はまだ互いの姿を見ることはできなくとも)、相変わらず私は信じているし、やっぱりそれを確認したいのだ。この人生をかけて。(「あとがき」より)
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