本書は、大学生を主な対象として、専門的な前提知識なしに、生物や生命について新たな観点から考えなおす題材を提供することを目的としている。副題の「めぐる circulating」というのは、生命や人間社会の活動がサイクルをなしていることを指し、「めぐむ coupled」とは、それらのサイクルが相互にエネルギーやものを供給しあっていることを示している。そして、無生物から、分子、細胞、個体、生態系、進化、あるいは人間社会などと、生命活動を構成する多数の階層のそれぞれにおいて、下の階層の勢いをもらって上位の階層が「わきあがる emergent」という「生命の勢い」の連鎖に思い至る。
本書は、こうした生命の基本的かつ統合的な理解を目指し、生命の理解の仕方や生命科学の教育に、エントロピーという尺度を導入することで、生命のつながりのすべてを理解する新しい風を吹き込むことを期待している。
1.「生命」と「もの」
2.めぐる生命のリズムとサイクル
3.細胞の中のめぐりめぐむ世界(1) 遺伝子・代謝・酵素
4.細胞の中のめぐりめぐむ世界(2) エネルギーと運動
5.サイクルと流れが織りなす発生と形態形成
6.体の中でめぐる循環系とシグナル伝達系
7.生態系:めぐりめぐむものと生き物
8.人間とともにめぐる生態系
9.世代をこえてつながる生命
10.地球と生命の共進化
11.生命の神秘から生命の秩序構造へ
12.部品からサイクルへ:生命秩序とエントロピー差
13.エントロピー差がめぐりめぐむ生命を生みだす
14.「不均一性」から考える生命世界と人間社会
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