シェイクスピアを日本語で表現するというのはどういうことなのかーー。明治以降の日本におけるシェイクスピア戯曲の翻訳・翻案作品のなかの「言葉」の在りように着目し、日本語と英語を同時に深い角度で眼差した創作者たちの意図、またシェイクスピア作品を取り巻く文化交渉の諸相を論じる。
まえがき
序章 最前線としての辺境
第1章 再び“ことば”の方へー一研究と実践の通史
1.先行研究を流れる二つの水脈
2.日本のシェイクスピア翻訳と翻案のこれまで
3.本書の構成ー一四作品の“ことば”が照らすもの
第2章 演劇の言葉と小説の文章ー一小林秀雄作『おふえりや遺文』
1.作品の背景と先行研究
2.演劇と小説の分断ー一九三一年発表時の文体
3.おふえりやと言葉の分裂ー一九三三年と一九四九年の改訂
4.小林の『ハムレット』批評ー一演劇と小説の接続
5.演劇の言葉と小説の言葉の紐帯
第3章 翻訳を通じた文体創造ー一福田恆存訳『ハムレット』
1.作品の背景と先行研究
2.せりふ劇と日本の伝統芸能の言語的差異
3.シェイクスピアの韻文と日本語の韻律
4.膠着語の問題と語尾の工夫
5.文末表現の工夫がもたらす独自性
6.「物」としての言葉
第4章 脚韻の再創造ー一木下順二訳『マクベス』
1.作品の背景と先行研究
2.一九七〇年から八八年までの変遷
3.シェイクスピア『マクベス』における脚韻の意義
4.一九八八年版における脚韻の再創造
5.悲劇の脚韻の再創造
第5章 シテの言葉と声ー一平川祐弘作・宮城聰演出『オセロー』の夢幻能翻案
1.作品の背景と先行研究
2.平川祐弘による謡曲台本の考察
3.宮城聰による初演の演出の考察
4.東西を往還する言葉
5.言葉を旅するデズデモーナ
終章 言葉なき死の向こう側
あとがき
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