本書は著者が,2021年から23年にわたって,『関西大学法学論集』に掲載してきた,思想家鶴見俊輔についての論考を集成したものである。著者は,大学を定年退職してから10年以上になるものであるが,現役の教員時代,担当授業科目は「西洋政治史」であった。そのため,現役当時,記述した論文,著書は,ヨーロッパの政治・政治史に関連したものが多かったのであるが,本書は,日本の思想家に関するものになっている。本書は,鶴見俊輔について論じたものであるが,鶴見は,例えば,フランスの著名な政治学者パスカル・ペリノーとは,まったく関係ない。無理にこじつけることさえできない。結局,本書は,本職であった授業,研究科目とは関係のない,著者の私的な漠然としたひそかな読書遍歴の「なれの果て」といったものと言っても仕方ないと思っている。しいて居直った言い方になるが,政治学研究者の心の奥底の遍歴を研究という手法で論じたものと言ったらよいのだろうか。
まえがき
第1章 非暴力直接行動と鶴見俊輔
1 はじめに
2 非暴力直接行動とは何だったのか
3 小田実とのつながり
4 『ベ平連』再考
5 韓国慰安婦問題と鶴見俊輔
6 おわりに
第2章 鶴見俊輔の「方法としてのアナキズム」
1 はじめに
2 加藤典洋の鶴見・埴谷論
3 鶴見俊輔のアナキズム論
4 鶴見は埴谷雄高をどう読んだか
5 おわりに
第3章 鶴見俊輔:ひとりの保守主義者
1 はじめに
2 鶴見俊輔の「岩床」
3 「戦後」が失ったもの
4 もう1人の保守主義者
5 おわりに
第4章 戦後思想史において『思想の科学』とは何であったのか
1 はじめに
2 『思想の科学』の創刊
3 『思想の科学』の50年
4 おわりに
第5章 「共同研究 転向」と鶴見俊輔
1 はじめに
2 「共同研究 転向」のモチーフ
3 「共同研究 転向」研究会の発展と展開
4 転向の遺産
5 おわりに
第6章 【書評】鶴見俊輔著『日本思想の道しるべ』(中央公論新社,2022年)
1 はじめに
2 本書の主要論文
3 主要な論点
4 おわりに
あとがき
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