「民族自決」の帰結と思われた多民族国家ハプスブルク帝国の崩壊と新生国民国家群の成立は、百年と経たずに限界を露呈した。本書では崩壊と成立という断絶のときに立ち返り、民族で割り切れない人びとの世界に焦点を当てて、国民国家と「民族自決」を問い直す。
序章 民族自決という幻影
第一部 アイデンティティのはざまで
第1章 ウィーン・ユダヤ人の憂鬱ーー帝国オーストリアからドイツオーストリアへ
第2章 それぞれのユーゴスラヴィアーーセルビア義勇軍の理念と実態
第3章 聖戦からユーゴスラヴィアへーー大戦とボスニア・ヘルツェゴヴィナのムスリム
第4章 農村からハンガリー文化を見直すーートランシルヴァニアの若手研究者の活動
第二部 連続と非連続のはざまで
第5章 「名前のないくに」--「小さな帝国」チェコスロヴァキアの辺境支配
第6章 帝国の遺産ーーチェコスロヴァキアの行政改革の事例から
第7章 ウィーンにおけるチェコ系学校の「戦後」--「民族の平等」と「少数民族保護」のはざまで
第8章 国境はどのように引かれたかーー日本人が見た南スラヴ
第三部 記憶と記録のはざまで
第9章 文書は誰のものかーー複合国家の文書館とハンガリーの歴史家たち
第10章 帝国遺産の相続ーー文書・文化財の移管をめぐる国家間交渉
第11章 帝政期の都市の保全活動をめぐってーーチェコの労働者住宅の事例から
第12章 サラエヴォ事件の黒幕を求めてーーオーストリア第一共和政における開戦責任論争
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