バッハ:フーガの技法 BWV1080
エフゲニー・コロリオフ(ピアノ)
1990年デジタル録音
「もし無人島に何かひとつだけ携えていくことが許されるなら、私はコロリオフのバッハを選ぶ。飢えや渇きによる死を忘れ去るために、私はそれを最後の瞬間まで聴いているだろう。」(ジョルジ・リゲティ)
1949年モスクワ生まれ。中央音楽学校でアンナ・アルトボレフスカヤに師事し、ハインリヒ・ノイハウス、マリア・ジュディナのレッスンも受けた。その後、チャイコフスキー音楽院に進学してレフ・オボーリンやレフ・ナウモフのもとで研鑽を積んだ。優秀な成績で卒業した後は同音楽院に指導者として迎えられたが、76年には結婚して旧ユーゴスラビアへの移住を決断、それによってロシアでの将来を嘱望された彼の活動は中断を余儀なくされることとなり、2年後にはハンブルクで教授の職に就いた。
コロリオフは大学在学中および卒業後にいくつもの国際コンクールで輝かしい賞を獲得した。1968年のライプツィヒ・バッハ・コンクールや73年のヴァン・クライバーン・コンクールなどで優秀な成績を収め、77年にはクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝、東西ヨーロッパ、カナダおよびアメリカなどの多くの国で演奏の機会を得た。
コロリオフのレパートリーは古典派からロマン派、現代音楽にまで及ぶが、とりわけJ.S.バッハの作品には常に強い興味を持ち、17歳の時にモスクワで平均律クラヴィーア曲集の全曲演奏会を行なった。それ以降、特にゴルトベルク変奏曲、フーガの技法、平均律クラヴィーア曲集によるシリーズのリサイタルをたびたび開催した。
コロリオフはこれまでにルートヴィヒスブルク音楽祭、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭、モントルー音楽祭、フィンランド・クフモ音楽祭、国際シュトゥットガルト・バッハターゲ、グロニンゲン・グレン・グールド音楽祭、ドゥシニキ・ショパン音楽祭、「ブダペスト春の音楽祭」、トリノ・セッテンブレ音楽祭などの重要な音楽祭で演奏している。
またハンブルク・ムジークハレ大ホール、ケルン・フィルハーモニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、ベルリン・コンツェルトハウス、ミュンヘン・ヘルクレスザール、ミラノ・ソシエタ・デイ・コンチェルティなどの主要ホールをはじめ、多くの国のさまざまなホールで演奏している。室内楽奏者としてはナターリャ・グートマン、ミッシャ・マイスキーなどとも共演した。
彼の最初のCDとして1990年にリリースされた「フーガの技法」(TACET)が、重要な録音だと評価されたことは驚くべきことではない。作曲家のジョルジ・リゲティはグラモフォン誌(2000年1月号)で「もし無人島に何かひとつだけ携えていくことが許されるなら、私はコロリオフのバッハを選ぶ。飢えや渇きによる死を忘れ去るために、私はそれを最後の瞬間まで聴いているだろう。」とコメントし、このCDは同誌のエディターズ・チョイスに選ばれた。その後、92年にはチャイコフスキーの「四季」とプロコフィエフのソナタ選集が、95年にはシューベルトの作品集が相次いでリリースされた。
また99年にはJ.S.バッハの鍵盤作品集2枚と「インヴェンションとシンフォニア」に続いてゴルトベルク変奏曲を、バッハ・イヤーとなった2000年(没後250年)には、平均律クラヴィーア曲集第1巻をリリースした。それらはすべて“シュピーゲル”“ピアノ・ニュース”“ル・モンド・デ・ラ・ムジーク”などの各誌で熱狂的な支持を獲得し、ゴルトベルク変奏曲は1999 年11月のディアパソン・ドールで第1位を獲得した。多くの評論家は、コロリオフが手がけたバッハのCDが、バッハ・イヤーにリリースされたすべてのCDの中でも特に傑出しており最も重要な歴史的名盤に比肩している、と評している。(カメラータ・トウキョウ)
Disc1
1 : Contrapunctus 1 5:11
2 : Contrapunctus 2 2:29
3 : Contrapunctus 3 3:32
4 : Contrapunctus 4 2:29
5 : Contrapunctus 5 3:01
6 : Contrapunctus 6 5:50
7 : Canon alla Ottava 1:41
8 : Contrapunctus 7. A 4 per Augment et Diminut 5:06
9 : Canon per Augentationem in Contrario Motu 3:15
10 : Contrapunctus 8. A 3 5:18
11 : Contrapunctus 9. A 4 alla Duodecima 2:09
Disc2
1 : Contrapunctus 10. A 4 alla Decima 5:06
2 : Contrapunctus 11. A 4 5:03
3 : Canon alla Decima. Contrapunto alla Terza 4:55
4 : Contrapunctus inversus 12. A 4 a rectus 2:42
5 : B inversus 3:17
6 : Contrapunctus a 3
7 : Contrapunctus inversus a 3 2:11
8 : Canon alla Duodecima in Contrapunto alla Quinta 1:50
9 : Fuga a 3 Soggetti 11:17
10 : Fuga a 2 Clav. 2:12
11 : Alio modo. Fuga a 2 Clav. 2:07
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