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江戸の人情に思わずもらい泣き 父と娘、母と息子、男同士の友情……心震える名作アンソロジー 「文」(志川節子) 旅籠屋の主・源兵衛は、江戸にいる恒之介と四十年来の友だ。このたび隠居をして故郷に戻るという文を受け取った源兵衛だが、江戸で大地震が発生し、恒之介は亡くなってしまう。友が故郷でやりたかったことに思い当たった源兵衛は、その遺志を受け継ぎ、奔走する。 「雨夜の月」(高瀬乃一) 料亭の主人・徳兵衛は、老いによる躰の不調や料亭を継ぐ甥への苛立ちから、当てつけとして、迷い込んできた子犬に身代を譲ると言い出し……。 「夏草ヶ原」(梓澤 要) 隠居した武士・庄右衛門は、神田川の土手で浮浪児の少女に気付く。見て見ぬ振りができずに医者に連れていく庄右衛門だが、そこで厳しい現実を突きつけられる。 「神童問答」(馳月基矢) 手習所を営む勇実と千紘の兄妹のもとに、旗本の奥方が息子の鞠千代を連れて、入門希望にやってくる。七歳にもかかわらず『論語』を諳んじる鞠千代の面倒を見ることになった勇実だが、千紘は母親のことも気にかかり……。 「深情け」(諸田玲子) 豪農の娘・おそよは、気に染まない縁談の祝言の夜、盗賊に襲われる。しかしおそよは、自身を犯した盗賊の頭領のことが忘れられず、行方を突き止めるが……。 「野槌の墓」(宮部みゆき) 七歳の娘を一人で育てる<何でも屋>の源五郎右衛門は、娘から化け猫のタマの依頼を聞いてほしいと頼まれる。人の命を奪うようになった物の怪退治を請け負った源五郎右衛門だが……。
レビュー(6件)
9月24日に注文を出して今日届きました。「なみだあめ」宮部みゆきとあったので個人の作品とばかり思ったいましたがアンソロジーだとは思いませんでした。時代人情小説なので感動しながら楽しく読みたいと思います。