本書のキーワードは「デザイン」。読み通してみると、内容はすでにこれまで自分で感じていたこれからの「勝つ」ビジネスの方向性とほぼ同じであったが、秀逸なのはこの本の中に紹介されているWebサイトと参考文献の多さ。訳者の大前氏の解説によると、編集の都合で割愛した参考文献はさらに膨大な量にのぼるとのこと。恐れ入る。機会があれば原書も当たってみようと思う。日本の多くのビジネス書では、著者の独自のビジネス理論やノウハウは実に魅力的に(いかにも成功しそうに)書かれているが、残念ながら、その裏付けとなる文献やWebサイトの紹介が少ない。根拠のない理論は今後恒常的に応用できるものとは言えず、その時の流行ものとして一過性で終わってしまう。反論、後続の新理論や研究に耐えうる名著はなかなか出て来ないのが現状である。私は長年、科学技術分野の論文抄録作成という仕事をしてきたので、著作物の質的評価については厳しい基準を持っている。こういうところで戦えるようにならないうちは、日本もまだまだだな、と思う。今国内で隆盛を極めているネットビジネス、ITビジネスが、いかに「井の中の蛙大海を知らず」ということかが、とってもよく分かる本である。
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