全4巻の感想です。

前回の長編から18年ぶりの新作。私は16年、人生の約半分待ちました。 たまたま手にした「月の影 影の海」にドはまりした高校生の私。その後の進学や物の考え方に大きく影響を受けました。そんな私も30歳を過ぎ、正直続編を拝める日が来るなんて期待してなかったんです。ところが2018年12月、第1稿があがったと公式Twitterで発表されたではありませんか。これは新作を読み終わるまではなんとしても生き延びなければと、新作の発売日を心待ちにしておりました。そして2019年11月9日。第4巻まで読み終えた私の第一の感想は、やはり小野不由美さんはすごいな、ということでした。 安直に、追われた泰麒や驍宗は仲間を再集結させ、阿選を討ち取る。もしくは阿選に負けて滅びる。どちらにしろ、泰麒たちと阿選の打ち合いをクライマックスにもってくるもんだとばかり思っていたら、そんな結末!? この作品は他の十二国記のシリーズとは雰囲気がガラッとかわっています。私は「屍鬼」を読んでいるようだなと感じました。登場人物が多く、描写の一々が、よく言えば緻密、悪く言えば助長で、他の作品みたいに小気味よく話がサクサク進むのを期待していたら拍子抜けします。 このクライマックスと作品の長さについては、賛否両論あると思います。が、私はこれでよかったかな。 月の影から入っていった人ならば、陽子がシリーズの主人公だと思うと思います。私もそうでした。ただ、エピソード0であると公式に言われている「魔性の子」(魔性の子刊行からは28年経ってるんですよね...)を含めたとき、十二国記の主人公は高里要であり泰麒なんです。その泰麒のある行動が今作の最大の見せ場なのですが、ものすごく重くて深い。麒麟にそういう行動を取らせることをこんなにも胸打つシーンにすることができたのは、月の影から脈々と続いた物語があったからで、私は感動を禁じえませんでした。そして最後の挿絵の意味を考えたとき、鳥肌が立ちました。 この先、十二国記のように、ほぼリアルタイムで読んで新刊を十何年と待つ、という経験は二度とないと思います。そんな小説を偶然手にした高校生の私を褒めてあげたい。 完全にネタが明かされたわけではないので、来年の短編集でその辺のことを詳しく書かれていたらいいなと思いました。 本当に小野不由美先生には感謝します。ありがとうございました。