雅子は何処に

雅子はいったい何処に行こうとしているのでしょうか。 女優夏目雅子の葬儀の際、夫伊集院静の喪主挨拶で発されたフレーズです。型どおりの挨拶が多い中、遺された者の真情溢れた挨拶は強烈な印象を残しました。 二十何年も前の場面なのに忘れられません。 彼が作家となる萌芽がこの時の妻との死別体験にあったのだと勝手に解釈しています。 夏目雅子との出会いと死別が綴られる最終章は、若き妻を慈しむ夫の愛情とその後の哀しみ、そして諦めと、哀切としか表現できない文章でした。 もちろん大部分を占める「大人の流儀」については私の年代では頷くことの多い楽しい内容でした。