不思議な雰囲気をうまく醸し出している

第23回山本周五郎賞受賞作。読後に道尾秀介はミステリ以外にもこんな本を書けたのかと思わせる短編集である。物語は6つだがそれが微妙に繋がって 不思議な雰囲気を醸し出している。認知症の母と暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄妹が、小さな手で犯した罪。そして 幼い兄弟にそう思わせた 男・・ 現在から 過去を視る描写が本当にうまい。心に傷のようなものを抱えながら、必死に 生きてきた人々をやや距離感を置きながら・・ でも生きる希望の光を与えるかのようにうまく描いている。