【ネタバレ注意!】現実はもっと過酷だ

※ネタバレ注意! ちょうど礼子と同じような境遇にあるため、ついレビューしてしまった。この本は、可視化そして評価されにくい「家事」「育児」の大変さにスポットライトをあてた点で、それだけで評価されるべき作品だろう。 実際に子どもを持つまで、ワーキングペアレンツの大変さ、専業主婦/夫の孤独さはわからなかった。たとえ、たくさんの先輩方からいろんな話を聞いていたとしても、見聞きしていたとしても、この大変さはやってみないとわからないだろう。 しかしながら、本作について少しばかり残念に思うところがある。(ネタバレになるが)、礼子の夫が単身赴任となり、両親にも頼れず完全ワンオペになるにもかかわらず、営業職で復帰するところ。ワンオペが回っていない点を解決できていないにもかかわらず、そしてむしろ負担は増大するにもかかわらず、この選択をすることは現実には非常に困難だ。いったいどうするのだろう。直行直帰して時間をやりくりするのか。ママ友のネットワークを最大限活かし頼りまくるのか。このあたりの「甘さ」を感じて、興醒めしてしまった。 また、最後に出てくる「未婚の母」の動機。現実感がない。卵子凍結技術もあるのに、なぜこうのひとっ飛びしてしまうのか。ネットなどの手触り感のない情報に踊らされているのはこの登場人物だけでなく、著者自身もそうではないのか。 と読めば読むほど疑問が出てくるのだが、もしかすると著者の狙いはこういった「疑問」を解決するための議論のきっかけを社会に与えたかったのかもしれない。