すさまじい「声なき者たちの声」の記録
2015年、ジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞したベラルーシのスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチが、第二次世界大戦でソ連軍に従軍した女性たちに行なった聞き取りの記録。2008年に群像社から出ていた故・三浦みどりさんの翻訳が、著者のノーベル賞受賞後に、岩波現代文庫から改めて出版されました。
ソ連軍で若い女性たちが(医療スタッフとしてではなく)武器を手に戦闘を行なう兵士として従軍していたことすら知らなかった私には、その事実だけでも衝撃的でしたが、さらに、戦後、帰還した彼女たちが、戦争に行かなかった女性たちから白眼視されていたこと、男たちの華々しい「ナチス撃破」の物語の一部となることも許されずに語るべき体験などないかのようにふるまわざるを得なかったことなど、事実の重さにしばらく放心してしまいました。ここに集められているのは、まさしく「声なき者たちの声」です(著者のノーベル賞受賞の大きな理由となったのが、そのような活動でした)。
文章としては、インタビューの集積で、こなれた会話体で書かれているので楽に読み進められます。中学生なら読めると思います。高校生なら、70年ほど前にほぼ同世代の女の子たちがこういう経験をしたのだという実感を伴って読めると思います。
私はこの女性たちの母親に近い年齢でこの本を読みましたが、読んでよかったと心から思っています。
他のユーザのコメント