ある日、六甲山系芦屋ロックガーデンの風吹岩で休憩中のこと、初老のハイカーにいきなり加藤文太郎の話を聞かされた。 一瞬、誰のことを言っているのか分からず聞き返すと、新田次郎の『孤高の人』を読んでみなさいと告げられた。 実は、今から30年前の10代の頃、一度だけ『孤高の人』を読んではいたが、その内容もすっかり忘れてしまっていた。 山から下りた後もその男性の話がとても気に掛かり、不惑の年齢になった今、どうしてももう一度読んでみたくなり、すぐに注文し一気に読み耽った。 読み終わった感想であるが、ただただ感動し言い知れぬ何か大きなモノが自分の胸の中に重く圧し掛かり、はっきりとは言えないが男の生き様とはかくもこうあるべきなのか?と自問する自己との対話がとても心地よい。 それにつけ、この小説が実話であるという驚きは、何かとても考えさせられ加藤文太郎のことをもっと知りたいと思うようになった。 この物語は山岳小説でありながら男の人生そのものであり、仕事に燃え、家庭を愛し、友情とは何かを深く考えさせられる小説であると思った。 山をやるすべての人に、そして特に山男に読んで欲しい一冊です!