うつ病、精神疾患

恐らく今までにない内容の本ではないでしょうか。私はうつ病なので微妙に立場は違いますが非常に心に残りました。 生活苦とストレスから著者が4歳のときに統合失調症(以前の精神分裂病)を発病した母親との長きに渡る壮絶な生活。夜、目が覚めると母親が包丁を自分につきつけて震えていたり、「殺す」と叫ばれながら追い詰められ、「もういいや死んでも・・・あ、でも、刺されたら痛いかなあ・・・お母ちゃん刑務所行きになるのかな・・・」などと考える著者。(もちろん母親は病気の発作でそうなるので、その時のことは憶えていない) 「お母ちゃんのせいでお前は結婚できないんじゃないか」と申し訳ながる母親に、「お母ちゃんのことで私をふるような人は、きっと本当に私のこと好きなんじゃないんだよ」 と笑う著者・・・ 子どもとは、これほどまでに親を愛せるものなのか。涙が出ます。著者は「生まれてこない幸せもある」と絶望した時期もあったそうですが、この言葉もズシリときました。 そして、心優しいご主人と出会い、結婚したことで変わった生活。ご主人という第三者が入ってくれたお陰で「一緒に考えてくれる」仲間が増えたことの喜び。病気のことをもっと勉強したいと言ってくれるご主人と、それに刺激されてどんどん前向きに治療の内容や薬を勉強し始める著者。 いつの間にか、自分の心に余裕が無くなり、母親の気持ちより自分の気持ちを優先させていたと気が付いた著者の、「心が寄り添わなければ、一緒にいても孤独だ」という言葉は、全ての精神疾患の患者の叫びを代弁してくれているような気がします。よくぞ書いて下さった!!と拍手を送りたい気持ちです。 精神疾患をもった人間は、とかく「気力が無いだけだ」「怠け病だ」などと偏見にさらされがちです。そして一番頼りにしたい家族そのものが一番の敵になったりもします。 実際、自分の病気を、どんな病気でどういう薬を飲んでいるのか、どういう方針の治療を受けているのか、私は家族に一度も考えてもらったことがありません。通院も入院もいつも一人でした。 「自分のことを気にかけ、理解しようとしてくれている」と感じられるだけで、どれだけ励みになるか・・・いくら口で「病気に負けるな」「しっかりしろ」と言われても「一緒に頑張るから」という気持ちがなければ、すべては無です。 精神疾患に悩む方、そしてその家族に是非読んで頂きたい一冊です。