同じ作者の「テミスの剣」を読み、冤罪というテーマをこれほどまでに深く表現した物語があったんだ、と強い衝撃を受けた記憶があります。その「テミスの剣」に登場する女性裁判官の「その後」の物語。一番印象に残ったのはインチキ教祖が率いる新興宗教の団体を題材にした章で、彼女いわく「信仰心はね、時として憎悪より危険なのよ」「信じる神のためというのは戦意を鼓舞するには最適の理由」。太平洋戦争で父と兄を失った女性裁判官の草分けという設定ゆえに、セリフにも重みがありました。