医師と霊現象
日々人間の生死にかかわってこられた医者という立場から、人の死をどう読み解くかを描いたものだと思います。立場上難しい専門の治療法などわかりにくい記述もあったにせよ、医師が経験した、霊的としか言いようのない不思議な現象も描かれてあり、それが読みたいばかりに買って読みました。
医者は科学者の立場として実証できないものを肯定するかのような発言はしないものだと思っていましたが、矢作医師は、自らの体験と、複数の臨死体験談から、人が死ぬということの意味を医師の立場を超えて書かれておられるところが珍しかったです。
このような本を読み、私自身、母が死んだことへの意味を何とか解きほぐせないものかと―――そればかりを、自己本位的な動機から読むのだから、何かを得ようとして、それが何かはわからず、未消化のまま読み終わってしまいました。
もし彼の世があるのならではなくて、彼の世があり、霊(魂)が存在するものと肯定したうえで読む。すると、医師が経験したことはまさしく霊現象であって、それ以下でもそれ以上でもないと感じるようになる。どこかで魂の普遍性を肯定してくれるものがほしかった。死を考えるとき、心の中で思っていれば永遠に不滅なのだというような観念的なものでは決してなくて、観念ではなく実証がほしかった。その意味では「人は死なない」という本は、やはりそういう意味ではなかった。。。サブタイトルは「ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索」で、
サブタイトルの通りだと思いました。人の肉体は滅びるが魂は不滅であり、肉体という制限付きの入れ物の中に閉じ込められている真の本体は、いつかは肉体から飛び出して、また別の体に宿るかそれとも―――それ以上の、魂の遍歴を記した素晴らし本もあるが、やはり実証されたわけではない。
肉親を亡くし、いざそれが自分の身になると、それだけでは物足りず、それ以上のものを求めてしまいがちです。その点では、医師が、御母堂の霊と話をする場面には驚かされました。
多数の著作も紹介されているので、関連著書や、矢作医師の他の著作も読んでみたいと思います。医者として、霊を真っ向から否定する方がおられる一方で、真摯に向き合う姿が感動的でした。もう少し心霊現象が多いのかと思いましたが、そうでなかったところが、かえって現実味があり、誠実さを感じました。
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