優秀な知識人である一郎は、家族ほぼ全員から気難しい厄介者として看做されている。弟・二郎をはじめ一郎の妻(二郎の嫂)、父母、妹からも腫れ物を触るように扱われる一郎。その一郎が友人Hとの(二郎が密かに仕組んだ)旅行で哀れな本性を顕す。知識人として非常に優れている一郎は、生々しい感情すら分析・解剖する習性のため、それを素直に表現できず苦しんでいる。しかし、友人Hを除く周囲の家族達は、一郎を理解不能と無意識に切り捨て、その罪に気付いていない。実は、一郎の苦しみより、一般人の無知ゆえの罪を問うた作品のような気がした。もう3回以上読み返し、そのたびに新しい考え、発見がある。
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