ページ数も少なめだし行間も広めなので、量的な読み応えという面ではやや物足りなさが残りました。しかし量は少なくとも、作中には様々な形の愛情であったり、思いやり、憎しみ、恐れ.......等々であったり、いろんな登場人物のいろんな感情が詰め込まれていて、終始ひとのココロについて考えさせられました。著者らしい優しさに満ちた文章でしたし、読んで無駄にはならない、とても良い作品だったと思いますが、ストーリーやキャラクターの面白さという点では、個人的には『夏の庭』や『ポプラの秋』の方が良かったかも。ぐいぐい引き込まれてフルスピードで読むというよりも、身の回りのいろんな事に想いを巡らせて途中道草しながら、ゆっくりじっくり読みたい作品という印象を受けました。