空海の実像に迫る
奈良平安時代の歴史的背景や儒教や仏教の基礎知識がないと難解で読みこなせない。例えば、大日如来が宇宙の根元であるというロジックを理解することに苦労した。
一方で、人間としての空海の実像に迫る想像力は凄い。達筆として名高き弘法大師だが、肉欲を正当化したり、浮き世に流されず心理を追求する姿、密教を学ぶ集中力、最澄への嫉妬は凄まじい。空海の人間くささがリアルに描かれている。
私は本物の空海の風景を見たく、この本を片手に、幽玄な高野山まで行った。この本で理解できなかったことを、現地の僧侶に質問して理解を深めた。
「竜馬が行く」や「坂の上の雲」といった司馬の代表作に見られる、引き込まれるような痛快感はないが、司馬の違った芸風を見た思いだ。
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