東の子でも西の子でもない新しい赤ん坊といて生まれた子。 立ちふさがる壁や、避けられぬ傷はたくさんあるだろう。 でも救いや、癒しは、自分の中にもある。 癒そうとする自分、癒されようとする自分。 梨木さんの作品は、文字でつづられていない物語が行間からにじんでくる。 降った雨を山がためて、いつか地下水として湧き出すように、ひたひたと押し寄せてくる、もうひとつの、数多の物語が。