本の値段

墨を使った現代アート。謎に満ちた、その芸術家・川田無名の作品を専門に扱う画商・唯子が殺され、アシスタントだった佐和子が謎を追う。著者は東京藝大を卒業し、香港の大学にも学んだだけに、アジアの美術市場を舞台にした本作が書けたのだろうが、逆に、理屈が先立って中盤、解りにくい部分がある。しかも、その割にラストは2時間ドラマ的。台詞も書き言葉で小説としてはシラケる。「このミス」もこの程度なのかと思うと、がっかり。文庫だからこの値段で可とするが、次回作に期待していいものか?